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トレーダーが学ぶべき資金管理 (適切な合計取引量)

1回のトレードにおける適切な取引量の決め方について以下で学びました。
トレーダーが学ぶべき資金管理 (1トレード当たりの適切な取引量) - お金について楽しく学び、豊かな人生を送る

続いて、1日のリスク管理方法、適切な合計取引量の決め方について学んでいきます。

1. 1ユニットの1日のリスク管理

3銘柄を1ユニット取引して、発生しうる最大損失を計算してみます。

1.1 ある3銘柄の1日のリスク

1000万の投資用資金がある人は1日に全体の1%の10万円までのリスクを取れる

1ユニット 取引単位 ATR 1日のリスク
ソニー 19 100 52円 9.88万円
東京金 2 1,000 48円 9.6万円
東京白金 4 500 55円 11万円

1ユニットの取引を行っていると別銘柄でも1日のリスクをほぼ同程度に管理できているのがわかる。

1.2 1ユニットにおける1日のリスクを計算する式

ユニット数 × 取引単位 × ATR

ユニット数とは1日あたりの最大損失が全投資資金の1%になるように買う単位です。 単位は、最小取引単位。株で言えば、1単元。FXならば、1万通貨。

1ユニット購入することは、自分の資産を1%減らすリスクを負うということになり、
1ユニット単位で購入することで簡単にリスク管理ができるようになる。

同じ銘柄でも投資資金やその時のATRによってユニットで表す取引量が増減する。
このようにして適切な取引量を算出でき、リスク管理が可能となる。

1.3 ATRの扱い

ATRは日々計算する必要がある。週単位、もしくは週の途中での再計算が必要。
値動きが激しい時は取れるリスクが減ります。よって、値動きの変化(ATR)を再計算し、 取引量の計算式に反映していく必要がある。

2. 適正な合計取引量とは?

一回に扱う取引量はわかりました。では、全体の取引量については
どう決めたら良いのでしょうか。タートルズ流では以下のように決めていたそうです。

適正な最大取引量(タートルズ流)

1.同一銘柄は4ユニットまで
2.相関関係の高い銘柄は6ユニットまで
3.相関関係がある銘柄は10ユニットまで
4.買いなら買い、売りなら売りで12ユニットまで

2.1 同一銘柄は4ユニットまで

1ユニット購入後にチャンスと見て、追加建玉をする場合は、最大4ユニットまで。
その後、いくら良い買いチャンスが来ても、追加建玉はしてはいけない。

投資資金が100万だとすると4%の4万が同一条件の損失リスクを被る可能性がある。

2.2 相関関係の高い銘柄は6ユニットまで

銘柄分散投資のためのルールです。

原油とガソリンなど高い相関関係がある銘柄です。
この場合、原油を4ユニット建玉していたら、ガソリンは2ユニットまでしか建玉しません。
途中で、原油またはガソリンを手仕舞いしていたら、その分は建玉できる。

他に相関関係が高い銘柄ペアは豪ドル/円とNZドル/円など。
同じ、近似セクターに属する銘柄も「相関関係のある銘柄」と捉えます。

相関係数は生き物で変化していくため、一定期間で見直しが必要。
相関係数は関数が決まっているので価格データさえ、用意できれば、エクセルで計算出来る。

投資の用語集:相関係数とは |ETF・インデックスファンドなら!『わたしのインデックス』

2.3 相関関係がある銘柄は10ユニットまで

原油、ガソリンと相関関係がある銘柄はコモディティ全般。
コモディティは金やゴム、大豆などがある。

例) 原油、ガソリン(相関関係が高いペア)で6ユニットまで買い注文をした場合は
金、ゴムなどの他のコモディティでは合計で4ユニットまでしか買い注文できない。

2.4 買いなら買い、売りなら売りで12ユニットまで

2.3の例の状態から、コモディティ以外での買いは、追加で2ユニットまでしかできない。
例えば、日経225を2ユニットまでは買い注文できるが、3ユニットは買い注文できない。

買い注文で12ユニットまで購入しても、売り注文ではまだ売りを建てることはできる。
例えば、コーンを4ユニット(同一銘柄は4ユニットまで)売り注文可能。

この時点で合計のポジションは、12ユニットの買い。4ユニットの売り。 1日当たりの全資産におけるリスクは16%

数値だけを見ると、高いリスクを取っているように見えるが、 銘柄分散と買い・売りのポジションを同時に持つことにより、リスク相殺が働いている。
16%のリスクだが、実際は、リスクが抑えられるようにタートルズは調整している。

3. ATRとはどうやって算出している?

ATRとは1日の最大値動きを指します。
ATR(最大値動き)を表示できる取引ツール

これを用いて、1日に取れるリスクを計算しています。
では、この数値はどのように計算しているのでしょうか。。

ATRの概念だけでなく、数値の意味を知ることが、トレードの本質を理解し、 収益を上げることに繋がるので、理解していきたいと思います。

3.1 ATR(平均値動き)の算出方法

TR(TRue Range)をまず、算出します。

A = 当日高値 - 前日終値
B = 前日終値 - 当日安値
C = 当日高値 - 当日安値

A,B,Cの中での最大値を「1日の最大値動き」とする。

今日に関係するのは、前日終値と当日の高値、安値の値です。 この中で、一番高くなる可能性があるのは、前日終値と当日高値。 この中で、一番安くなる可能性があるのは、前日終値と当日安値。

この差の組み合わせでA、B、Cのパターンが考えられます。
この中で、一番、値動きの高いものが「一日の最大値動き」TRとなります。

その平均値がATR(Average TRue Range)となります。

3.2 ATRの種類

ATRは日本での普及度はいまちいですが、海外のトレーダーにとっては必需品であるため、 外国製のチャートシステムでは高い確率でATRがデフォルトで組み込まれています。

ATRはTRを用いての算出方法が3つあります。

  • 単純平均(SMA)
  • 修正移動平均(MMA)
  • 指数平滑移動平均(EMA)

数値は、ざっくり値動きの傾向をつかむことが大事だそう。
ATRの値が徐々に大きくなっているのか、ちいさくなっているのか。

単純平均(SMA)

過去20日のTRの単純平均値

修正移動平均(MMA)

当日に近づくにつれ、TRが今に強く影響を与えると考えて、過去20日の平均計算する方法。

当日のATR = (前日のATR × 19 + 当日のTR) ÷ 20

前日のATRを19日分とし、当日はTRを1日分として20日分のTRを算出し、20日で割って計算。

指数平滑移動平均(EMA)

考え方は修正移動平均(MMA)と同じで、当日に近づくにつれ、重みづけて平均計算する方法。
そして、より当日に重きをおいた計算方法。

こちらが現在、主流で使われている計算方法。この数値が表示されるチャートを使っていきたい。

当日のATR = (前日のATR × 19 + 当日のTR × 2) ÷ 21  
前日のATRを19日分とし、当日を2日分として21日分のTRを加算したとして、21日分で割って計算。  

※ATRを初めて算出するときは、前日のATRがないですが、その場合は、単純移動平均の計算方法で、 20日のTRの平均を算出してから、計算を行います。

ATR(1日にの最大値動き)を考えないと、居心地のよい、一定のトレード量を目分量で決めて、 同じだけ売買したりする。1日に80円の値動きをする銘柄と1日に40円の値動きする銘柄では 全然リスクが違います。

資産管理、リスク管理が出来るようにATRを意識していきたいですね。

次はリスク管理として、ロスカットラインを学んでいきます。
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